Phase 1: お薬と向き合う — 第2回
連載の進み具合2 / 14
加藤

整形外科専門医・加藤裕幸

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「自己注射なんて、私にできる?」— 不安をひとつずつ

「自分で注射するなんて、とても無理」と思うのは、ごく当たり前のことです。でも、最初は同じ気持ちだった多くの方が、今はご自身のペースで続けています。


骨をつくるお薬の中には、ご自身で注射する「自己注射」のものがあります。そうお伝えすると、たいていの方の表情がこわばります。

「先生、私には……自分で注射なんて、できる気がしません」

手が震えそう、想像しただけでこわい。注射は看護師さんにしてもらうものだと思って何十年も過ごしてきたのですから、こわくて当然です。弱いからでも、おかしいからでもありません。

診察室で、看護師がやさしく寄り添いながら、年配の女性と一緒に注射の練習をしている 最初は誰でも不安です。看護師さんと一緒に、何度でも練習できます。

針は、採血の針の半分以下の細さ

自己注射の針は、採血や予防接種の針とは別物です。太さは採血の針の半分以下で、刺すのも皮膚のすぐ下だけ。「チクッとするくらいで、採血よりずっと軽い」とおっしゃる方がほとんどです。

針が見えないように工夫されたタイプや、ボタンを押すだけで終わるタイプもあります。最初の数回は看護師さんが必ず一緒にやってくれますし、一人でできるようになるまで何度練習してもかまいません。針の細さやデバイスの違い、手順は次の記事にまとめています。

📖 自己注射が怖い方⁠へ — 不安を安心に変えるガイド

「最初の5回」を、一緒に

外来で見ていると、多くの方は最初の5回ほどを越えたところで、ふっと楽になります。「こんなものだったのね」「歯磨きと同じになりました」と。最初のうちだけ、肩の力を抜いて臨んでください。

深呼吸を3回する。決まった時間に打つ。ご家族にそばにいてもらう。そして打てたら「今⁠日もできた」と自分をほめてください。

注射を「やらなきゃいけないこと」と考えるより、「いま骨に栄養を届けている時間」と考えてみる。それだけで、注射の意味が少⁠し⁠変わります。

どうしても難しければ、通院して打ってもらう方⁠法もあります。自分でできなければいけないわけではありません。続けられる方⁠法を選べば、それで十分です。

今⁠日できること

今⁠日は、これだけで十分です。

次の診察で、「注射がこわいんです」と、正直に伝えてみる。

その一言があれば、看護師さんや主治医があなたのペースに合わせて進めてくれます。次回は、お薬の「副作用が心配」という不安についてです。


この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。

監修:加藤裕幸(整形外科専門医/東海大学医学部 医学教育学 教授)

自己注射治療
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