骨粗鬆症にはさまざまなお薬があります。それぞれの特徴と、医師がどのように選ぶかを解説します。
まず注意すべき点です。
期待できる効果は次のとおりです。
主治医は、この両面をあなたの状態と照らし合わせて、治療を一緒に考えます。
骨は生きているの記事で、骨には「解体チーム(破骨細胞)」と「建設チーム(骨芽細胞)」がいることをお伝えしました。骨粗鬆症のお薬も、このどちらに働きかけるかで2つに分かれます。

建設チーム(骨芽細胞)を元気にして、新しい骨を積極的につくるお薬です。
家にたとえるなら、柱を増やし、壁を厚くする「増築・耐震補強工事」です。骨の量を増やすだけでなく、骨の内部構造(骨質)も改善することが期待されています。
現在、日本で使える骨形成促進薬は次の3種類です。注意すべき点はお薬ごとに違うので、それぞれの記事もご覧ください。
| お薬 | 商品名の例 | 使い方 | 使用期間 | 詳しくは |
|---|---|---|---|---|
| テリパラチド(副甲状腺ホルモンを利用して骨をつくるお薬) | フォルテオ、テリパラチドBS「モチダ」、テリボン、テリボン オートインジェクター | 自己注射(毎日または週2回)または通院注射(週1回) | 最長24か月 | テリパラチド・アバロパラチドについて |
| アバロパラチド(テリパラチドと似た仕組みの新しいお薬) | オスタバロ | 自己注射(毎日) | 最長18か月 | テリパラチド・アバロパラチドについて |
| ロモソズマブ(骨をつくりながら守る、両方に働くお薬) | イベニティ | 通院で皮下注射(月1回) | 最長12か月 | ロモソズマブについて |
解体チーム(破骨細胞)の働きをおだやかにして、骨が壊されるスピードをゆっくりにするお薬です。
家にたとえるなら、今ある建物が傷まないようにする「防水・メンテナンス」です。骨を増やす力は穏やかで、今ある骨を守るのが役目です。
| お薬 | 使い方 | 特徴 | 詳しくは |
|---|---|---|---|
| ビスフォスフォネート(骨が壊されるのを防ぐお薬) | 飲み薬(毎日/週1/月1)または点滴(年1回) | 最も長い治療実績 | ビスフォスフォネートについて |
| デノスマブ(骨の分解を抑える注射薬) | 通院で皮下注射(6か月に1回) | 中断時は主治医への相談が必要 | デノスマブについて |
| SERM(女性ホルモンに似た働きをするお薬) | 飲み薬(毎日) | 閉経後の比較的若い方向け | その他のお薬 |
| 活性型ビタミンD製剤(カルシウムの吸収を助けるお薬) | 飲み薬(毎日) | 他のお薬と併用されることが多い | その他のお薬 |
以前は、骨粗鬆症のお薬は「まず骨をまもるタイプから始めて、必要なら骨をつくるタイプへ」という順番が一般的でした。ところが近年の研究で、重症の骨粗鬆症では順番を逆にしたほうがよいことがわかってきました。骨折の連鎖が起きやすい最初の2年間に、先に骨をつくっておこうという考え方です。


家の補強でいえば、次の2通りです。
研究でも、「つくるお薬→まもるお薬」の順で治療したほうが、逆の順よりも骨密度の改善が大きかったと報告されています。2025年の骨粗鬆症ガイドラインでも、骨折リスクの高い方には「骨形成促進薬を先に使う(骨形成促進薬先行治療)」ことが推奨されています。
[!info] 圧迫骨折後の慢性的な痛みについて 骨粗鬆症の治療でお薬を使い骨を強くしても、すでに起きた圧迫骨折による慢性的な腰痛や脚のしびれが残ることがあります。これは骨折による脊柱の変形(矢状面アライメント異常)が原因のことがあり、痛みの専門的な治療が必要な場合があります。骨折後の痛みが続く方は 腰痛・狭窄症 相談室(scs-for-lcs.com) もご参照ください。
すべての方に当てはまるわけではありません。骨密度がまだ比較的保たれている方や、骨折リスクが中程度の方には、骨をまもるお薬から始めることが適切な場合もあります。
どの順番でお薬を使うかは、主治医があなたの状態を見て判断します。

骨粗鬆症の治療は、数か月で終わるものではありません。数年単位で、お薬を切り替えながら続けていくことが一般的です。
【治療の流れのイメージ】
骨折リスクが高い方:
骨形成促進薬(12〜24か月)→ 骨吸収抑制薬(継続)
「つくる」フェーズ 「まもる」フェーズ
骨折リスクが中程度の方:
骨吸収抑制薬から開始 → 必要に応じて見直し
「まもる」フェーズ 定期的に主治医と相談
治療中は定期的に骨密度検査や血液検査で効果を確かめます。お薬の効果は自分では感じにくいものですが、検査の数値が少しずつ変わっていくのを見ると励みになります。
どのお薬にも副作用の可能性はありますが、重い副作用はまれとされています。安全に続けられているかは、主治医が定期的な検査で確かめます。気になる症状があれば、遠慮なくお伝えください。
自己注射と聞くと、不安になるかもしれません。それでも、多くの方が最初の心配を越えて、ご自身で注射を続けています。注射器も痛みが少なくなるよう工夫されています。詳しくは自己注射が怖い方へをご覧ください。
お薬の種類によって使用期間は異なります。骨形成促進薬は12〜24か月と期間が決まっていますし、骨吸収抑制薬も定期的に継続の必要性を見直すのが一般的です。治療のゴールや見通しは、主治医と一緒に決めていきます。
慌てなくて大丈夫です。自己判断で2回分をまとめて飲んだりせず、次の診察時に主治医に相談してください。飲み忘れが多いなら、飲む回数の少ないお薬に変えられないか相談してみてください。
骨粗鬆症のお薬は「つくるタイプ(骨形成促進薬)」と「まもるタイプ(骨吸収抑制薬)」の2種類です。骨折リスクの高い方には「まずつくる → 次にまもる」の順番が、2025年の骨粗鬆症ガイドラインで推奨されています。家でいえば、先に増築と耐震補強をして、そのあとで防水とメンテナンスをする順番です。具体的なお薬の選び方と順番は、主治医と一緒に決めていきましょう。
次の診察で聞いてみたいことの例です。メモに書いて持っていくと、聞き忘れがありません。
Q. どのお薬が自分に一番合っていますか?
骨密度の状態、骨折の有無、年齢、他の病気の有無、生活スタイルなどを総合的に見て、主治医が判断します。「つくるタイプ」と「まもるタイプ」の違いを知っていると、主治医の説明が追いやすくなります。
Q. 食事と運動だけで十分ですか?
食事と運動は骨の土台になります。ただ、骨密度が大きく低下している場合や骨折を経験されている場合は、お薬の治療を勧めるのが一般的です。食事・運動とお薬は、組み合わせたほうが効果が期待できます。
Q. 治療にはどのくらい費用がかかりますか?
多くの骨粗鬆症治療薬は保険適用のため、自己負担は1〜3割です。具体的な費用はお薬の種類によって違うので、主治医や薬局でご確認ください。高額になる場合は、高額療養費制度が利用できることもあります。
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。
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医療監修
加藤裕幸(整形外科医・日本整形外科学会専門医)
東海大学医学部付属病院/湘陽かしわ台病院
最終更新:2026年10月17日
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