Phase 1: お薬と向き合う — 第1回
連載の進み具合1 / 14
加藤

整形外科専門医・加藤裕幸

約3分で読めます

「お薬、結局どれ?」— 種類の多さに迷ったら

飲み薬、注射、毎⁠日、月1回……骨のお薬は種類が多くて、結局どれが自分に合うのか分からない。整理してみると、見通しはぐっとよくなります。


骨⁠粗⁠鬆⁠症の治療を始めるとき、多くの方が同じところで立ち止まります。

「先生、お薬っていろいろあるみたいですけど……結局、私にはどれがいいんでしょう?」

調べれば調べるほど、飲み薬に注射、毎⁠日のものに月1回のものと名前ばかり増えて、かえって不安になる。無理もないことだと思います。まずは大きく2つのタイプに分けてみてください。それだけで全体が見えてきます。

診察室で、医師が2種類のお薬の役割をやさしく図で示し、年配の女性が納得した表情で聞いている 種類は多くても、役割は大きく2つです。

「つくる」お薬と「まもる」お薬

骨のお薬は、はたらきで2つに分かれます。ひとつは新しい骨を積極的につくるお薬で、正式には骨形成促進薬(こつけいせいそくしんやく)と呼ばれます。もうひとつは今ある骨が壊れるのを防ぐお薬で、骨吸収抑制薬(こつきゅうしゅうよくせいやく)といいます。

家にたとえると、つくるお薬(骨形成促進薬)は「増築・耐震補強」、まもるお薬(骨吸収抑制薬)は「防水・メンテナンス」です。どちらが上ということはありません。そのうえで近年のガイドラインは、骨折のリスクが高い方には「まずしっかり建ててから守る(つくる→まもるの順)」という考え方を示しています。

種類ごとの違いと、なぜこの順番なのかは次の記事にまとめました。

📖 骨を「つくる」治療と「まもる」治療 — 順番が大切な理由

「どれ」を決めるのは、あなたと主治医

選択肢がこれだけ多いと、「正解を自分で選ばなきゃ」と気負ってしまうかもしれません。でも、どのお薬をどの順番で使うかは、骨密度や骨折の有無、生活のしかたを見ながら主治医と一緒に決めることです。一人で正解を当てる必要はありません。

お薬は主治医と一緒に選ぶものです。2つのタイプを知っておくと、その相談がしやすくなります。

次の診察では、お薬手帳を見せながら「私のお薬は、つくるタイプ? まもるタイプ?」と聞いてみてください。ご自身の治療がどこに位置するのかが、はっきりします。

今⁠日できること

今⁠日は、これだけ覚えておけば十分です。

「種類は多くても、役割は『つくる』か『まもる』の2つ」

次回は、その治療のひとつ「自己注射」についてです。「自分で注射なんて、とても無理」と感じている方に向けて書きます。


この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。

監修:加藤裕幸(整形外科専門医/東海大学医学部 医学教育学 教授)

治療お薬
共有: