「骨の薬を飲んでいると、歯を抜けない」と聞いて不安になった。あるいは、歯医者さんに断られてしまった。そういう方でも、ほとんどの歯科治療はちゃんと受けられます。
骨のお薬を使っている方から、こんな心配の声をよく聞きます。
「先生、歯医者さんで『骨の薬を飲んでるなら、歯は抜けません』って言われてしまって……どうしたらいいんでしょう」
困ったまま、歯の問題を放っておいてしまう方もいます。それがいちばん困るので、先に答えを書いておきます。骨粗鬆症の治療中でも、ほとんどの方は安全に歯科治療を受けられます。
お薬手帳を見せて一言伝えれば、歯科医と主治医が連携して進められます。
ほとんどの治療はいつも通り
虫歯の治療、歯のクリーニング、歯周病のケア、入れ歯の調整は、これまで通り受けられます。歯科医と主治医の相談がいるのは、抜歯やインプラントなど「骨を直接さわる処置」のときです。その場合も、できないわけではありません。両者が連携して進めます。
抜歯の前にお薬を休む必要も、最新の見解では原則としてないとされています(飲み薬の場合)。くわしい考え方は次の記事にまとめました。
📖 骨粗鬆症と歯科治療 — 安心して歯の治療を受けるために
受付で「骨のお薬を使っています」と伝える
歯科では、受付でお薬手帳を見せて「骨のお薬を使っています」と伝えてください。それだけで、歯科医はそれに合わせた計画を立てられます。面倒に思っても、隠さずに伝えてください。
歯科医と主治医が情報を共有できれば、治療は進めやすくなります。お薬手帳一冊が、その橋渡しになります。
断られても、あきらめないで
もし歯医者さんに断られても、そこで終わりにしないでください。主治医に「歯科で断られた」と伝えれば、歯科医へのお手紙(情報提供書)を書いてもらえることがあります。大学病院や総合病院の口腔外科なら、骨のお薬を使っている方の治療に慣れています。
日頃のていねいな歯みがきと定期検診も続けてください。抜歯が必要になること自体が減れば、将来の心配も小さくなります。
今日できること
今日は、ふたつ。
ひとつ、お薬手帳に「骨のお薬」が書いてあるか確認する。 ひとつ、しばらく行っていなければ、歯科検診を予約する。
ここまでの5回は、お薬で「治す」ステップの話でした。次回からは、もし骨折してしまっても、その先の生活を支えるための話に入ります。
この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。
監修:加藤裕幸(整形外科専門医/東海大学医学部 医学教育学 教授)